updated 2017/02/19
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BRICOLAGE
「バランスが良いって、よく言われるコトバですよね。
逆に、「バランスが悪いんだから」って言われたら、もうすべてがだめみたいに、かなり言う方の側に、都合のよいコトバかもしれませんね。

バランスって言われた時は、全体に対してどうなのかっていうことかなって思いますね。
服に関しては、たとえば、肩幅が狭いから、ウエストはこの細さだけど、ヒップはこのくらいボリュームが合ったほうがよいとか、襟はそのバランスだとこのくらいの大きさがよいとか。。ひとつのディテールが決まるとそこからすべて決まるように、パタンナーのバランス感覚って大事ですよね。
そうしたバランス感覚の根底には美のバランスって基本があることが、応用を生む出すと思います。
社長もそうした美術の世界での美のバランスということをとても大事にされています。
体型のバランスはもちろんですが、美しいと人が感じるバランスをもつことはパタンナーとしては必須条件でしょう。
                                        
当たり前の話ですが、パターンは紙ですから平面ですよね。タテとヨコしか線を描けませんね。
そこに立体を描こうとするから、立体から離れた平面図をつくってしまったりするわけです。

タテは立体の垂直線、ヨコは立体の水平線と、そこまではいいですけど、立体感を出す「厚み」はどうやって平面にあらわせるのでしょうか? 

ono−muller理論では、はるか昔から西洋で使われている重心線という基準線を使って厚みを平面で表現できるようにしています。
この重心線は漢字のとおり、重みの中心です。
左右の中心は前後中心線。そして前後の中心が重心線。。

脇線は肩線と同じでボディに縫い目はあっても、身体にはありません。どこに縫い目をもってきてもOKという質のものですね。

でも重心線は必ずソコッていう場所なんです。
だから基準線になれるんですね。優秀な線なんです。
この線を使うことで、前の凹凸感、後の凹凸感を自由に設定できるし、それが立体を描くように数値を動かせるというわけです。これがないとバスト90cmというように、総数値でしか把握できないわけです。

原型作図法というのは、世の中にたくさん、あります。
それにはかならず、数式というものがあると思います。
たとえば、首幅はバスト×1/20+○○とか。
「そうした数式がなぜ出てきたのか」って、疑問を持ったことはありませんか?

あるとき、私は衿の描き方を教わっていた方に、「その数式はどうして出るのですか」と質問したときに、「経験値」と言われました。
では教えていただいた衿のかたちが変わった時に、その数式をどのくらいの数値に変更したらよいかは、また経験を重ねて習得するという、パタンナーは長い経験を必要とするものだという感覚を受けました。
しかし、数式の出所が最初から明確になっていたならば、その考えの元に定数を変えても良いわけだし、だいいち、おおもとの原型の成り立ちがわかってスッキリするではないかと思いました。
そんなわけで、ono−muller理論の数式にはすべて理由が明確に記されています。こんなにスッキリと描いてあるのには今さらながらに脱帽いたします。

背丈=身長×1/4-1cmのからくり
身長に対する背丈の標準比率は25.5%
ただし、この比率では胴長に見えやすく、着易さには支障がないため、5%を切り捨てさらに1cmマイナスとした。
「婦人既製服パターンの理論と操作」から
ono−muller理論では、この数式を最初に習います。
最初にバランスの話をしたように、バランスとは絶対値ではなく、相対値です。
関係性のある部位同士がどの比率で成り立っているかを端的に表したものが数式と成るわけです。
たとえば、
ヒップ丈は身長×1/8、
背丈は身長×1/4
カマ丈(SNPから袖底までの長さ)は身長×1/20+バスト×1/10+5から6cm

これは原型を作成するだけの数式ではなくて、
パターンを見た時にこのHLは、この背丈位置は、このカマ底位置は基本体型よりもデザイン的にどれだけ上がっているかとか下がっているという判断がつきます。

また身長が大きいモデルサイズのパターンを作成する時なども、この比率分だけを加えていけばよいわけです。
これが数値だけで覚えるのは、応用が限られますが、数式=比例する個所と分量がわかれば、応用が非常に利く、便利なものさしといえるでしょう。
ちなみに小野社長のHPでは身長とバスト、ヒップを入力すれば、たちまち全部位のデータがでてきます。ちょっとのぞいて遊んでみてください。

 自動体型バランス計算式 
この画面の下へに自動計算式という項目がありますから、そこをクリック!

この紙貼りは、ono−muller理論では必須な道具といって良いでしょう。
原型パターンとは先に平面ありきではなく、立体ありきなのです。
その立体がどういった構造となっているかを検証するには、地の目があるシーチングよりも、地の目に影響されない紙の方がよりよいというわけです。

そしてゆとりが入っていない状態の方が体型構造は把握しやすいでしょう。
ドイツでは包帯のような紙ペーパーを使うようですが、日本には和紙というすぐれた紙があります。
これを立体になじみやすいようにもんでから使用します。
この紙貼りを展開した図にはは、パターンの基本理論が宝のようにつまっています。
私自身もパターンの説明をする時に紙貼りで説明する方がしやすいことがよくあります。
ボディの決め手は、そのブランドの対象年齢はもちろんですが、美しいと感じるフォルムも大事な要素でしょう
現在では会社での一つのボディというよりも、各ブランドごとにボディを決められることが多いでしょう。
自分のブランドのボディの特徴を知ることはパタンナーとしては必須です。
ono−muller理論では、上記の紙貼りとバランス数値によって、その違いを明確にできるようにしています。

バストが大きいとか、なで肩とか、肩甲骨の張り具合、前後の首幅などはもちろんですが、それをパターンのかたちだけでなく、各面でどのような凹凸感か、姿勢はどうかといったことが数値で表現でき、見た目だけでない、客観性をもってその違いを皆が共有できます。
ボディと人の違い、そして、年齢経過による体型変化も、この紙貼りとバランス数値で、非常に整理され理解しやすくなります。
特にミセスの場合には、太ってくるという単純な変化だけでなく、姿勢が屈伸になり、後丈、前丈のバランスに合わせて、前後首幅、肩幅、のバランスも変化していきます。
このように、中高年から子供まで、その体型変化の詳細が理解しやすくなるのは、この理論の優れたところです。
ここはちょっと くだけて話します。
グレーディングって、体型の変化がわかっていないと、ただ大きくなったというだけで、レギュラーに比べて立体感がなくなるってことが多くないですか?
ono−muller理論のグレーディングを一度見てほしい。
その違いは、5m離れていてもわかる。
サイズが大きくなっても崩れないグレーディングを知りたい人は必見。ここは当日のお楽しみ。。
ブラウスやジャケット、コートなどで後中心が浮いてはねたような現象をみかけませんか?

ジャケットの後中心をウエストで1.5cmくらいカットしている線が多いですが、この入り込んだ線はウエストダーツ分と思いますか?

背中の表情というのは、前身頃以上に年齢をあらわしますし、きりっとみせたいところです。
ono−muller理論では、後中心の線はウエストダーツ分ではなく、身体の凹凸面からくる傾斜だと考えています。
これはすべてのアイテムに共通して使える非常に基本的な理論です。
しかもヨーロッパでは昔から当たり前すぎて、特に明記されてもいなかったことをmullerが、紙貼り展開図で説明し、さらに小野社長がそれをさらにわかりやすく咀嚼された「後中心移動」の話です。
これを聴くだけでも目からうろこ状態に間違いありません。
必見、必聞です!

4面パネルやプリンセスなどのジャケットやブラウスで、脇身頃のパーツがすんなり決まらないことがありませんか?

特にバストとウエストの寸法差が大きい場合は、後脇身頃だけでなく、前身頃も裾での面が前側に振れたりとかで、トワル上で大きく修正なんてことがないでしょうか。

脇身頃が下に落ちて、前後ともに脇から中心側へ身頃が振れるという現象をパターン上であらかじめ操作してしまおうというパターンメーキング方法です。
やり方はいたって簡単です。
ただ、これはやり方ではなく、その元になる考え方が大事になります。
紙貼り展開で脇身頃のくずれの原因を把握して、なおかつドレーピング上においても検証したものをパターンメーキングという手法でおこなっているわけです。
これも即使える技ですから、ぜひトライしてほしい一技で、
必見、必聞です!

袖山はどうしてあのようなかたちになっていると思いますか?
また前と後ではどうして袖山のカーブが違うのでしょうか?

そうした当たり前のカタチに疑問を持つことは、そこからいろんな発見が生まれてきます。
袖の説明を小野社長がする時に、なぜか水のはった洗面器を持ってこられました。
そしてそこに筒状になった紙を斜め方向に浸しました。
そして紙を引き上げ、筒から平らな状態でみせてくれると、あの袖山のカーブ線が現れていました。
今度は袖の向きを前に持ってくると袖山のカーブは前後で大きく変化して、前はくれて、後はゆるやかなカーブになりました。

単純なたとえですが、袖の構造が一度でわかる、とてもおもしろい実験でした。
小野社長の講義のおもしろさは、やり方ではなく、考え方を教わるという点につきます。

袖山はどうしてあのようなかたちになっていると思いますか?袖の
目というのはご存知でしょうか。
袖は一枚袖で描くということは昔より減ってきているとは思いますが、袖を筒状にした時の袖山のかたちが目に似ているため、通称 袖の目と呼んでいます。

袖の目の描き方は、その教える人によって、ブランドによって、表情が大きく違ってくるところです。
アミコのように、前後の差をあまりつけずにやさしい感じにする袖、または小倉先生がよく作られるような、前後の差をかなりつけてひねりをいれたメンズ風な袖など。
小野社長は前者をAH袖、後者を基本袖として設計します。

前置きが長くなりましたが、小野理論の中で袖の特徴というのは、
1.袖山と袖幅、イセ量の関係を数値化で目安をつけられる。
2.前後の袖のカナメで、袖を上下に分割し、平面化すると、身頃の袖底に対して袖下が上がる。
これは紙貼りで一目瞭然である。
身頃の袖底と袖の下は同じ高さであると思い込んでいたが、袖下も傾斜をしているから、同じ高さにはならない。
そうした考えが設計に、はいっている。
これは、腕と身頃の関係を考える上でもかなり重要なことだと思う。

ono−muller理論の特徴としてこの続き袖シリーズはかなり重要だと思います。
続き袖というと、ラグランとか、キモノスリーブを想像されるかと思います。

ここでは、ラグランから始まって、キモノスリーブの他に、マチ入りの続き袖があります。

マチ自体も前へ振れている、完成度の高いパターンメーキング法だと思います。
続き袖の難しさは前袖にあると思います。前へ振っても、どうしても後に振れ易くなります。
続き袖は、即つかえる技術だと思いますので、ぜひとも一度トライしてみてほしい分野です。

あーあ、ここでほんとうはパターンメーキングとトワルを作ってみせたいなぁー。。
ono−muller理論として、パンツは重要です。
紙貼り展開図は胴体と脚の構造がよく理解できる、道具です。

●股ぐりのカタチが変化していくのも、脚がどのような筒状になるかで決まります。

●後中心線の傾斜は、倒し量だけで決まるものではないということも紙貼りからわかってきます。
●そして重要なことは、後中心点が前と同じ位置ではなく、中心側にずらしている点です。
中心側にずらすということは、脇側でなくお尻側に厚みを持ってきているということです。
これを前と同じ位置にしてパンツ設計をすると、脇からの斜めシワが多くでます。(これはハッキリと出るので、試してみるといいよ)
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