updated 2017/02/19
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BRICOLAGE
001
線とかたち それは面からつくられる
後ろ襟ぐりのかたちから考えてみる

右のパターン図を見てください。

ボディの後身頃のスローパーです。

その後襟ぐり線を見ていただくと、通常の見慣れた形状になっていると思われます。

その見慣れた形状寸法は、

襟巾が7.3cm前後、襟の深さが2.3cmでした。

次に、下の図を見てください。

これはどの部分の線だと思われますか?先ほどの襟ぐりに似ているような気もしますが、襟ぐりの深さが深すぎます。
いったい、どこの部位なのでしょうか?

では、この形状のでどころを教えましょう。
実は写真のようなスライディングゲージを使って、後襟ぐりをかたどったものなのです。
同じ襟ぐり線をかたちとして計測しているのにもかかわらず、どうしてこんなに形状が違ってくるのでしょうか?
とても不思議に思いませんか?

襟の深さは原型ではどんなに深くても2.5cmなんて思っていたものが、こんなに深くて4.8cm、襟巾は少なくなって6.3cmとなっていました。

後ろ襟ぐりは変化が少ない部位ですから、その形状もそれほど変わらないものだと思い込んでいました。

しかしそれは身頃という面構成を前提にして、つくられた”かたち”だったということがわかってきました。

面が変われば、同じ個所を抜き取っても、まったく違う形状ができあがる。
それはパターンの線というものが、独立したものではなく、面によってその線がかたちづくられていくという、ほんとにあたりまえのことに気づかされました。

追記ものがたり 

スライディングゲージというおもしろいものを見つけて何か使えないかと探していたら、衿ぐり線がゲージを向けた面によって変わることが無邪気に面白いと思いました。

カスミがかったアタマをつっかえながら、なんで同じ襟ぐりをゲージで、はかっているのに線が変わるんだと疑問に思いました。

そうしたら、カスミがかったアタマは、線はひとり独立したものじゃなく、面と繋がっているんじゃないかと思い始めました。
カスミがかったアタマは、なんだかすごい発見をしたという気になりました。
そんでもって、ダレカに言いたくなりました。
線って、独りじゃないんだよ。
面の端っこにつながっているんだぁーって。
だけどこんなスバラシイ話はパターンの実際にはなんだか関係ないし、誰も興味持ちませんでした。

ある日、ひとりのトリが近寄ってきて、「あの話の続きはないのか!」と言いました。
「えーあの続きの話かよ。あれはあれでおしまいだぁー」とカスミがかったアタマはトリに言いました。
カスミがかったアタマは「あんなスバラシイ話に続きなんて書けねぇよなぁー」とつぶやきました。
それからまた月日が流れました。

ひとりのトリがまた近寄ってきました。
「あの話はいったい何だったんだ」とトリはシチコク尋ねました。
トリのシチコサにカスミがかったアタマはこうべをたれました。
すると頭の中のカスミがチョロチョロと流れ出て、カスミがかったアタマは少し考えられるようになりました。

そしてトリに言いました。
ワシはいつも線ばかり描いていた。線ばかり描いていたから面が見えなかった。ワシは線をつくりたかったんじゃない。
カタチをつくりたかったんだ。だけどそれは線ではできないんだ。面が見えるようにワシはなりたかったんじゃ。

出演
カスミがかったアタマ
ひとりのトリ

by yano

2006/03/26

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