updated 2017/02/19
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BRICOLAGE
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アイロン処理による返り線の違いを検証する

ゴージダーツ入りのテーラードラペル

先日、モデリスト協会主催の技術セミナーを聞きにいきました。
最初に岩手モリヤさんの工場紹介があり、その中でも特に、テーラードラペルの、くせとりアイロンの話がとても興味深く、印象に残りました。
それはゴージダーツがあるテーラードラペルをくせとり処理し、柔らかい雰囲気の返り線に仕上げたジャケットでした。
そしてこのアイロン操作を自分なりに検証してみたいと思いました。

下の写真は返り線奥にゴージダーツがあります。
くせとりアイロンをせずに、そのままダーツをアイロンしただけのものです。その結果、ダーツ止まりに丸みが出て、返り線を邪魔するようにふくらみ感が出ています。
また返り線の襟側はダーツにひかれて、インカーブに見えます。(下左写真)

アイロンくせとり無し

下写真はアイロンくせとりをしていないものと、したものを並べました。
1.アイロン操作をした方は、しないものに比べて、身頃側(ダーツ部分の返り線)が身体に沈んでいるのがわかります。
2.またラペル側ではくせとり無しの方が、ラペルがふくらんでいるのに対して、くせとり処理後はラペル返り線が衿からきれいにつながり、ラペル自体も平らになっています。
3.バストライン辺りを見ると、くせとり無しではダーツ止まりの反動がそのままバストラインにふくらみとして残っています。くせとり処理後の方は返り線がきれいに返り止りへとつながっていき、バストラインでは沈んで見えます。

アイロンくせとり無し

アイロンくせとりあり

次の写真は斜めから見た状態での比較です。
バストラインからゴージラインにかけてのラペルのフラット感の違い、
バストラインでの返り線の浮き加減、
ゴージラインの形状の違いなどが見えてきます。

アイロンくせとり無し

アイロンくせとりあり

次はラペルを折り返した状態での比較です。
衿腰線からラペル返り線がくせとり無しに対してくせとりありの方が、若干、首から離れるようにしてインカーブになっています。
バストラインでの返り線の折れ方もくせとり処理無しの方が、より強く見えます。

アイロンくせとり無し

アイロンくせとりあり

くせとり無しでは衿腰線からラペルの返り線がバストライン辺りまでは直線に見えますが、返り線がおよいでおり、不安定に見えます。

アイロンくせとり無し

くせとりアイロンの方法は、
ゴージダーツのふくらみはすべて胸側にしっかりと移動させ、返り線奥は平らにします。
また返り線をいせてつります。
返り線をいせることで、ラペル端におよぎがでます。

くせとり後の状態

衿がついた状態でのくせとり後の状態

最後に
ゴージダーツをどのようなかたちにするのかということも大きく影響すると思います。
直線にするのか、または片側だけを曲線にするのか。
それは返り線をどのようにつくりたいかによって決めることだと思います。
それと同じように、アイロン操作を確認してパターンをつくる必要性を今回、とても感じさせてくれた研修会でした。
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