updated 2017/02/19
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Jeans Design
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股ぐりの不思議 (5

●股下線の位置

前後のクロッチの位置関係を見てみましょう。(クロッチとは股下交点の位置)下のA図を見ると前後クロッチ点で股上線からの距離がかなり違っています。前に対して後ろがかなり下がった位置になっています。パターンの設計でもよく後股ぐりを前に対して下げますが、その意味と同じなのでしょうか?
次のBの展開図は股上と裾巾を同寸に設定した紙貼り展開図です。前後のクロッチ点の高さは同じ位置になっています。股上巾と裾巾が同寸の場合には股下面は水平に移動するため、平面上での前後のクロッチ点は同じ高さになります。(ただし、生地のダレなどによってこのクロッチ点が常に同じ高さとは限りません)
ポイント
Aの展開図は股上巾と裾巾が違うため、その差寸によって内股面が斜めに展開されていきます。また股下線が渡り巾の真中ではなく、前よりになっています。そのため、ワタリ基準線上の開きが同じ場合でも、後の方が倒れ方が多くなり、前より下がるということです

では、なぜ股下線が前よりなのでしょうか。なぜ渡り巾の真中ではないのでしょうか。もし渡り巾の真中に股下線を設定すると前後股ぐりカーブはほぼ同じカーブを描くのではないでしょうか。もちろん、後の倒し量、前後のワタリ基準線位置での開き量等の違いはありますが、前後の股ぐり形状にそれほど大きな違いは現れないのではないでしょうか。
この股下線の設定は渡り巾の約1/3前よりと決めています。この位置は実は骨格のバランスからきています。脚の大腿骨と骨盤との連結位置=股の間接からこの位置となります。この骨格についての話は中澤愈著の「衣服解剖学」に詳しく載っています。特にパンツのように人体の骨格、間接の動きが元になるアイテムには大変参考になる図解、テキストが載っていますのでぜひごらんになってください。
縫製上ではこの股下線が前よりになることで、どのような変化があるのでしょうか。

下パターン図の前後股下線を見てください。これは特に前よりに股下線を設定したパターンです。前後股下線の傾斜度の違いと股下交点の高さの差がよくわかります。

後股下線がかなりのバイヤスになっているのに対して前はタテ地の目に近くなっています。このことにより、前股下では寸法が安定し、また後股下では伸ばしが入れやすくなり、それによって後大腿部をフィットさせたシルエットをつくることができます。また後股ぐりの距離は長くなるため伸ばしが入れやすくなり、お尻下の曲面をフィットさせるシルエットがつくり出せます。

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